NHKきょうの健康「胃潰瘍の原因はエヌセイズ!?」2018年11月放送
NHKきょうの健康、2018年11月第2週は胃の痛みについてです。
11月12日(再放送は11月19日)は
「突然起こる!胃潰瘍」という題で
兵庫医科大学教授の三輪先生からお話がありました。
(11月9日の「先どり」でも放送されましたね)
胃潰瘍の原因はピロリ菌より処方薬!?
胃潰瘍は重症になると胃に穴が開き、命にもかかわる病気。
いちばんおもな原因はピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)だといわれてきて、除菌もすすめられていましたね。
でも、最近は、ピロリ菌より、病院で処方された薬が原因で胃潰瘍になることが多いそうです。
ピロリ菌感染者は少なくなった!
かつては、胃にすみついているピロリ菌が胃潰瘍のいちばんの原因とされていました。
ピロリ菌の感染原因は、不衛生な水や食べ物。
そして、感染しやすいのは免疫力が弱い幼児。
そのため、日本にまだ下水道などが未整備だった、昭和30年代までに生まれた人は、8割以上がピロリ菌に感染しているといわれています。
けれども、いまの若い人はピロリ菌に感染していない人が多いんですね。
胃潰瘍の原因になる薬とは?
胃潰瘍の原因になるのはNsaids(エヌセイズ)という薬。
Nsaidsは、非ステロイド性抗炎症薬の頭文字をとった言葉です。
鎮痛薬や解熱薬として病院でも処方されるおなじみの薬です。
病院で処方されるものでは、
- バファリン
- ロキソニン
- ボルタレン
- インダシン
- ポンタール
などがあります。
市販薬では
- バファリン
- イブ
- ノーシン
- 新セデス
- セデス・ハイ
- タイレノール
- 小児用バファリン
などいろいろなものが該当します。
Nsaids(エヌセイズ)は、なぜ胃潰瘍を起こすの?
体に炎症があると、プロスタグランジンという物質がたくさんつくられ、このプロスタグランジンが痛みを引き起こします。
Nsaids(エヌセイズ)は痛みを抑えるために飲む薬。
Nsaids(エヌセイズ)は、このプロスタグランジンをつくるのを阻害することで関節痛などを抑えるのです。
でも、プロスタグランジンは必ずしも悪者ではないのです。
胃粘膜を保護したり、粘液を分泌したりと胃を守る働きもしているのです。
胃薬をいっしょに飲んでいれば大丈夫?
病院では、Nsaids(エヌセイズ)を処方するときには、胃粘膜を保護する薬も併せて処方されることが多いです。
番組のケーススタディでもそうでした。
Nsaids(エヌセイズ)が原因で胃潰瘍を発症した例
変形性膝関節症のため、Nsaids(エヌセイズ)と胃薬を処方され、ちゃんと飲んでいたAさん。
1か月ほどすると、胃の痛みと黒い便が出て、内視鏡検査を受けたら胃潰瘍が発見されたというものでした。
胃粘膜を保護する薬を飲んでいれば大丈夫、というわけでもないんですね。
エヌセイズ胃潰瘍は突然起きる?
胃潰瘍は、小さなものがじわじわ広がるというよりは、一気に大きな潰瘍ができるそうです。
そのうえ、Nsaids(エヌセイズ)は鎮痛薬なので、胃の痛みを感じにくいということもあります。
そのため、突然、吐血や下血(黒い便)が起きることも珍しくないそうです。
エヌセイズ胃潰瘍の治療は?
出血していれば入院して内視鏡治療のうえで、胃酸の分泌を抑える薬をのむことになります。
出血していなければ、薬だけで治るそうです。
とくに70歳以上になると、出血を伴う胃潰瘍は命に係わる危険があります。
胃のむかつきなどを感じたら、早めに受診したほうがいいですね。