機能性ディスペプシアに薬は効かない?~NHK今日の健康
NHKきょうの健康、2018年11月14日は
「原因不明の不快感!機能性ディスペプシア」です。
(再放送は2018年11月21日)
講師は今日も兵庫医科大学の三輪先生。
難しい名前の病気ですが、しっかり解説を聞きましたよ。
そして、そのほかにも、機能性ディスペプシアに効くというヨーグルトのことなど私が調べたことも含めてわかりやすくまとめてみました。
機能性ディスペプシアに薬は効かない?
機能性ディスペプシアにかかっている方の中には、何年も患っていて、いろいろな薬を飲んだけれど全然効かないという方も。
番組では、2013年に承認された機能性ディスペプシアの治療薬、アコチアミド(商品名:アコファイド)のお話もありましたよ。
機能性ディスペプシアとは?
機能性ディスペプシアって難しいことばですね。
知らなかったら、胃の病気のことだとはわかりませんね。
まずは、言葉の意味から説明しましょう。
ディスペプシアとは消化不良という意味。
機能性ディスペプシアは機能性胃腸症ともいいます。
つまり、胃腸の病気、ということなんですね。
そして、あたまについている「機能性」。
「機能性」、「器質性」ということばは医学用語でよく出てきます。
器質性、の「器」は、臓器のこと。
つまり、器質性の胃腸症は、臓器が悪いということ。
それに対して、機能性とは、働きが悪いということ。
つまり、機能性ディスペプシアとは、胃に悪いところがないのに、ちゃんと働かない、という病気なんです。
胃痛腹痛で診察を受ける人の半分は、この機能性ディスペプシアなんだそうですよ。
以前は、神経性胃炎などと呼ばれていましたが、これだとストレスが原因で胃炎が起きてるみたいですよね。
実際は、神経性胃炎とされた人の半分くらいは、胃炎がないけど胃炎みたいな自覚症状がある人、という状態だったんですね。
機能性ディスペプシアの症状
機能性ディスペプシアの症状は、大きく2つに分けられます。
ひとつは胃もたれや早期膨満感など食事どきに起きるもの。
もう一つは、痛みや灼熱感(しゃくねつかん)など食事と関係なく起きるものです。
胃もたれや早期膨満感
中高年に多く見られる症状です。
胃の機能が低下することで、食べ物が胃に滞留する時間が長くなり、胃もたれがおきます。
また、食べた時に、胃がじゅうぶんに膨らまないことで、食べ始めてすぐに、お腹がいっぱいになったりします。
そのため、何年間も、一人前の食事がとれないまま過ごしているという方も。
食事が満足にとれないと、ほかの病気にもなりそうですね。
胃の痛みや灼熱感
若い人に多く見られる症状です。
そういえば、私も20代の一時期、ちょくちょく胃がキリキリすることがありました。
残業は多くありませんでしたが、ひっじょーにストレスフルな職務だったため、自分でもストレスが原因だと思ったもんです。
職場にある薬局で胃腸薬を買おうとしたら、若い薬剤師のお兄さんから
「そういう痛みには胃薬は効かないよー。
胃専用の鎮痛薬じゃないと」
と別の薬をすすめられました。
それを飲むと、立っていられないほどのキリキリした痛みがさっとひくので、その職場にいる間は、常時、手放せませんでしたね。
でも、いま調べてみたら、現在は販売されていないようです。
機能性ディスペプシアの原因
機能性ディスペプシアのいちばんの原因はストレスだといわれています。
胃腸の働きというのは、自分の意志でコントロールすることができません。
無意識のうちに、自律神経によってコントロールされています。
この自律神経はストレスの影響をつよく受けます。
自律神経のはたらきが乱れることで、胃の運動異常や知覚過敏がおきるのです。
胃の運動異常
胃に入った食べ物が入りはじめると、容量を大きくするために、胃の上のほうがふくらみます。
けれども、胃の機能が衰えると、胃が大きくならなくなり、すぐに膨満感が起きてしまいます。
また、食べたものは、胃で胃酸と混ぜ合わされたあと、十二指腸へと送られます。
けれども、胃の運動機能が衰えると、胃の中にとどまる時間が長くなり、胃もたれを感じるようになります。
胃の知覚過敏
胃は、胃粘膜によって胃酸からまもられています。
粘膜がきずつくと胃炎になりますが、機能性ディスペプシアの場合、胃粘膜に異常はありません。
痛みを感じるのは、胃胃粘膜の知覚過敏が原因といわれています。
胃酸とおなじくらいの酸を注入する実験で、健康な人なら刺激を感じない程度でも、機能性ディスペプシアの人は刺激を感じることが発表されています。
機能性ディスペプシアの治療
機能性ディスペプシアは、薬物療法が基本だそうです。
アコチアミド(アコファイド)
胃もたれや早期満腹感など胃の運動機能が落ちている場合は、アコチアミドという薬が使われます。
アコチアミドは、2013年に機能性ディスぺシアの治療薬として承認された薬です。
商品名はアコファイドといいます。
ただし、アコファイドの処方を受けるには、胃カメラで検査して、機能性ディスペプシアだという確定診断が必要なんだそう。
漢方薬(六君子湯)
漢方薬の六君子湯(りっくんしとう)も、機能性ディスペプシアの改善に効果があるといわれていて、病院でも処方されることがあるそうです。
六君子湯(ツムラ43)は市販もされているそうです。
抗不安薬
機能性ディスペプシアはストレスが原因のため、アコチアミドや胃酸を抑える薬では効果がない場合は、ストレスを和らげるための薬も処方されることがあるそうです。
機能性ディスペプシアにヨーグルトが効く!?
こちらは、ネットで機能性ディスペプシアについて調べていた時に見つけた情報。
乳製品でおなじみの(株)明治でヨーグルトに機能性ディスペプシアへの効果があることが確認されたそうです。
どんなヨーグルトでもいいわけではなく、乳酸菌OLL2716株が入ったものなんだそう。
でも、まだ商品化されていないみたいですね。
もし、ご存知の方がいらっしゃったらおしえてください。
まとめ
機能性ディスペプシアは、ストレスが原因で、炎症がないのに胃炎のような自覚症状が続く病気。
だから、胃食道逆流症とおなじように、治癒するのが難しいらしいです。
お薬だけで治るというものではなく、考え方を変えて、生活全般を見直すことが必要です。
とくに中高年になると、若いころと同じように動けなくなって当たり前。
それでいて、仕事でも家庭でも、はたす役割は増えがちな年代。
もっともっととがんばるよりも、自分がしなくてもよいことは減らしていくことが大切です。