NHK今日の健康 | 自閉スぺクトラム症とは?2018年11月
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NHKきょうの健康、今週のテーマは子供の発達障害。
3日目の2018年11月21日は、自閉スぺクトラム症(ASD)についてです。
(再放送は2018年11月28日)
今日も、昭和大学の岩波明教授からのお話です。
- 自閉スペクトラム症と自閉症の違い
- 自閉スペクトラム症とアスペルガーの違い
などもわかりますよ。
自閉スぺクトラム症(ASD)の特徴・症状とは?
自閉スペクトラム症は、自閉症スペクトラム障害とも呼ばれます。
自閉スペクトラム症のひとの特徴は次の2点です。
- コミューニケーションの障害
- 興味や行動への強いこだわり
コミュニケーションの障害とは?
自閉スペクトラム症の人は、
- 会話のやり取りがかみ合わない
- 人の言葉をオウム返しにする
- 一方的に話す
- 独特なしゃべり方をする
- 空気が読めない
などのコミュニケーション障害があります。
これは、会話の流れや文脈の理解が難しいため、言葉を字面(じづら)どおりに受け取ったりするためです。
また、人の表情から感情を読み取ったり、場の雰囲気を察知することも苦手なため、その場に応じた適切な行動や態度をとることも苦手です。
自閉スぺクトラム症のコミュニケーション障害の例
「道草を食わないように」と注意されると
「道に生えている草を食べたりしない」と言い返すなど
興味や行動への強いこだわりとは?
自閉スペクトラム症の人は、
- 列車の時刻表
- 電話番号
- スポーツの記録
など数字に強いこだわりをもつ傾向があります。
興味があることについては、事細かに記憶したり、詳細に記録したりと過度に没頭します。
また、マイルールにもこだわりがあり
- 外出の時の道順
- 物を置く位置
- 食べ物の好み
などでも自分なりの方法に固執したりします。
自閉スぺクトラム症(ASD)の検査・診断
自閉症かどうかの診断は、問診による検査でおこなわれます。
自閉スぺクトラム症の特性は
- コミューニケーションの障害
- 興味や行動への強いこだわり
です。
この両方に該当したら、自閉スぺクトラム症と診断されます。
どちらか一方では自閉スぺクトラム症とは診断されません。
自閉スぺクトラム症(ASD)の診断基準
自閉スぺクトラム症(ASD)の診断基準には
- コミューニケーションの障害について3項目
- 興味や行動への強いこだわりについて4項目
についてチェック項目があります。
- コミューニケーションの障害は3項目すべて
- 興味や行動への強いこだわりは4項目のうち2項目
に該当するかどうかが検査されます。
両方ともに該当する場合に自閉スぺクトラム症(ASD)と診断されます。
コミューニケーションの障害のチェック項目
以下の3項目すべてに該当するかどうかが確認されます。
- 人との会話のやり取りや感情を共有することが難しい
- 人と交流する際、身ぶりや手ぶりなどの非言語的コミュニケーションがとれない
- 年齢に応じた人間関係が築けない
興味や行動への強いこだわりのチェック項目
以下の4項目のうち2項目以上に該当するかどうかが確認されます。
- 常に同じ動きや会話を繰り返す
- 同一性への強いこだわりがある
- 非常に限定的で固執した興味がある
- 音や光などの感覚刺激に対して、極度に過敏あるいは鈍感
自閉スぺクトラム症(ASD)の分類
自閉スぺクトラム症(ASD)の人は
- 自閉症
- 高機能自閉症
- アスペルガー症候群
の3つのタイプに分類されます。
これは、コミュニケーションの障害の程度によって分けられるようです。
自閉症とは
自閉症は、とくにコミュニケーションが困難なタイプです。
「言葉の遅れ」や「知的障害」がある場合に、自閉症とされます。
自閉スペクトラム症と自閉症の違い
スペクトラムとは、あいまいな境界をもって連続している様子を表す言葉です。
光のスペクトラムの例では、虹ですね。
自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群には、強いこだわりという共通項があります。
けれども、コミュニケーション障害の程度は、違います。
自閉スペクトラム症は、自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群をまとめた言葉です。
高機能自閉症とは
高機能自閉症は、自閉症ほどではないけれども、コミュニケーションが困難なタイプです。
「言葉の遅れ」はあるけれども「知的障害」ではないタイプです。
高機能自閉症と自閉症の違い
高機能自閉症と自閉症は、どちらも「言葉の遅れ」があり、コミュニケーションが困難です。
高機能自閉症と自閉症の違いは、「知的障害」があるかないかです。
高機能自閉症と自閉スペクトラム症の違い
自閉スペクトラム症は、興味や行動に強いこだわりがあり、コミュニケーションに障害がある人です。
コミュニケーション障害の程度によって、自閉症・高機能自閉症・アスペルガーに分けられます。
高機能自閉症は、言葉の遅れがあって、コミュニケーションが困難だけれども、知的障害はないタイプのことをいいます。
アスペルガー症候群とは
アスペルガー症候群は、コミュニケーションが少し困難なタイプです。
「言葉の遅れ」も「知的障害」もありません。
むしろ、知能は、普通より高いことが多いといわれています。
高機能自閉症とアスペルガー症候群の違い
高機能自閉症は「言葉の遅れ」があり、コミュニケーションも困難です。
アスペルガーは「言葉の遅れ」はなく、コミュニケーションの困難は少しです。
自閉スペクトラム症とアスペルガー症候群の違い
自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群をまとめて、自閉スペクトラム症といいます。
興味や行動に強いこだわりがあるという特性は共通しています。
けれども、コミュニケーション障害の程度は、非常に困難から少し困難というふうに違います。
ちょうど、光の濃淡のようですね。
それで、スペクトラムという言葉でまとめられたのでしょう。
自閉スペクトラム症(ASD)の子供の治療や教育は?
自閉スペクトラム症の子供のサポートは、療育です。
「治療教育」ともいいます。
療育は、児童発達支援センターなどの公的施設や民間施設で行われるほか、病院などに施設が併設されていることもあります。
療育のプログラムでは、少人数のグループで、遊びや作業を通じて、コミュニケーション力や集団活動のルールをみにつけていきます。
知的障害がある自閉症の場合は、自分で身の回りのことができるように生活改善の指導もあります。
発達障害の子供は、苦手なこともある反面、得意なこともたくさんあります。
家庭では、良いところを見つけ、褒めてあげることが大切です。
周囲の適切な支援があれば、日常生活での支障が少なくなり、自己肯定感も高まります。
適切な対応がないとうつなど二次障害の原因に!
自閉スペクトラム症の子供は、コミュニケーションが苦手なため、
- 友人関係がない
- いじめ
- 不登校
などが起きがちです。
そうしたストレス状態が続くと、うつや不安障害などの二次障害へとつながることもあります。
二次障害では
- 引きこもり
- 暴力
- 対人恐怖
- 意欲の低下
などがみられます。
二次障害にならないためには、家族だけで対処しようとせず、医療機関や専門機関のサポートを受けることが大切です。
まとめ
自閉スペクトラム症の人は、独特のこだわりがある反面、
- ユニークな発想
- ルールを守る生真面目さ
- 正義感が強い
- 気持ちが優しい
などの長所があることが多いそう。
自閉スペクトラム症のなかでも、境界があいまいであるように、発達障害がある人とない人との境界もあいまい。
発達障害まではいかなくても、チェックリストを見ると該当することがあったりしますよね。
「普通」の人でも、性格や特徴がさまざまで、なにが「普通」なのかよくわからない。
「普通」なのかどうかはどうでもよくて、自分の目の前に現れた人を理解しようと思いやることが大切ですね。